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私にとって
人との絆はとても大切で
特に
中でも特別なつながりの人とは
密な関係を築いてきた。
それはごく自然なことだった。
学生時代に続けていたバイトでも
同時期に始めた友達は
“同期”として何でも気持ちを共有したし
未だに連絡を取って近況報告をしあっている。
「同期」
「同じ大学出身」
「同郷」
世の中にはカテゴライズされた
さまざまな共通項があるけれど
そうした共通項は
人との“連帯”を自然と生む、
そうした思いを、
私は常に抱いてきた。
同時に
そうした“連帯感”は
改めて口に出すまでもない、
そう思ってきた。
◆◆◆
彼女は、同じ部署に配属された
たった一人の
同期だった。
同期の新入社員は数百人採用されたが
もっとも近くにいる同期は
彼女一人しかいない。
私は当然のごとく、
意識するまでもなく、
彼女を特別な存在と考えた。
同じ部署に配属された2007年6月から
彼女が辛いとき
当然のごとく悩みを聞いた。
仕事が終わったあと食事に行ったりもした。
特に何の変哲もない。
大切な同期だから。
それだけのこと。
2008年が始まった頃だったと思う。
私たちは
もうすぐ
入社して丸一年を迎えるところだった。
部署の先輩と
他愛のない話をしていたとき
ふと先輩が口にした。
「●●(彼女の名前)ちゃんね、○○(私の名前)ちゃんのことダイスキなんだって」
同期愛だなー、ありがたい。
「でも‥」と先輩が続けた。
「○○ちゃんはいつもツレないって。寂しがってたよ」
‥‥え?
‥何だって?
‥‥寂しくさせた?
私が‥‥?!
◆◆◆